相続人が外国に居住しているとき

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2014.12.04

[平成26年4月1日現在法令等]

 

1相続税の納税義務者

相続などで財産を取得した時に外国に居住していて日本に住所がない人は、取得した財産のうち日本国内にある財産だけが相続税の課税対象になります。

ただし、次のいずれかに該当する人が財産を取得した場合には、日本国外にある財産についても相続税の対象になります。

1財産を取得したときに日本国籍を有している人で、被相続人又は財産を取得した人が被相続人の死亡した日前5年以内に日本国内に住所を有したことがある。

2財産を取得したときに日本国籍を有していない人で、被相続人が日本国内に住所を有している。

(注)

1留学や海外出張など一時的に日本国内を離れている人は、日本国内に住所があることになります。

2上記2の場合は、平成25年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税に適用されます。

 

また、相続などで財産を取得していない場合でも、被相続人から生前に贈与を受けた財産について相続時精算課税の適用を受けている場合には、相続時精算課税の対象となった財産が相続税の課税対象になります。

 

(参考)財産の所在

 

財産の所在の判定は、次によります。

 

財産の種類・・・所在の判定

 

動産・・・その動産の所在による。

不動産又は不動産の上に存する権利・・・その不動産の所在による。

船舶又は航空機・・・船籍又は航空機の登録をした機関の所在による。

鉱業権、租鉱権、採石権・・・鉱区又は採石場の所在による。

漁業権又は入漁権・・・漁場に最も近い沿岸の属する市町村又はこれに相当する行政区画による。

預金、貯金、積金又は寄託金で次に掲げるもの

(1)銀行、無尽会社又は株式会社商工組合中央金庫に対する預金、貯金又は積金・・・その受入れをした営業所又は事業所の所在による。

(2)農業協同組合、農業協同組合連合会、水産業協同組合、信用協同組合、信用金庫又は、労働金庫に対する預金、貯金又は積金・・・その受入れをした営業所又は事業所の所在による。

生命保険契約又は損害保険契約などの保険金・・・これらの契約を締結した保険会社の本店又は主たる事務所の所在による。

退職手当金等・・・退職手当金等を支払った者の住所又は本店若しくは主たる事務所の所在による。

貸付金債権・・・その債務者の住所又は本店若しくは主たる事務所の所在による。

社債、株式、法人に対する出資又は外国預託証券・・・その社債若しくは株式の発行法人、出資されている法人、又は外国預託証券に係る株式の発行法人の本店又は主たる事務所の所在による。

合同運用信託、投資信託及び外国投資信託、特定受益証券発行信託又は法人課税信託に関する権利・・・これらの信託の引受けをした営業所又は事業所の所在による。

特許権、実用新案権、意匠権、商標権等・・・その登録をした機関の所在による。

著作権、出版権、著作隣接権・・・これらの権利の目的物を発行する営業所または事業所の所在による。

上記財産以外の財産で、営業上または事業上の権利(売掛金等のほか営業権、電話加入権等)・・・その営業所又は事業所の所在による。

国債、地方債・・・国債及び地方債は、法施行地(日本国内)に所在するものとする。外国又は外国の地方公共団体その他これに準ずるものの発行する公債は、その外国に所在するものとする。

その他の財産・・・その財産の権利者であった被相続人の住所による。

 

(相法1の3、2、10、21の14、21の15、21の16、相令1の13、1の15、平25改正法附則11、相基通1の3・1の4共-5、1の3・1の4共-6、10-6)

 

出典:国税庁ウェブサイト(<a href="https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4138.htm" target="_blank">相続人が外国に居住しているとき</a>)

 

意見・感想

相続税の納税義務者及び相続財産に該当するか否かについての大原則になります。特に納税義務者に該当するか否かでは、被相続人が死亡した日前5年以内に日本国内に住んでいたか否かが判断ポイントとなっている点に注意が必要です。税理士 茂見寛二

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